5月に読んだ漫画
『ウスズミの果て』(1)
『BLAME!』の弐瓶勉作品を連想させる超巨大構造物に覆われた世界で人類の生存者を探しその土地を浄化する少女の物語。
人類そのものの社会システムは機能していないが、人類を救出するシステムだけがほぼ壊滅した世界で機能し続ける様子は既視感があるといえばそうだが、こうしたジャンルそのものが好きなので、是非とも結末まで描いてほしいと思う。
『てのひら創世記』(1-5)
『魚の見る夢』『ひとりぼっちの地球侵略』の小川麻衣子の新作。
『新世紀エヴァンゲリオン』とか『なるたる』が浄化されて綺麗になったみたいな印象。愛一郎の父親や千絵の母親といった布石の置き方と終盤の畳み方に一貫した考えがあるように思えないので打ち切られたのかな?と勘繰ってしまった。
この人の漫画のテンポはあだち充に似ていて非常に好みではある。
『天幕のジャードゥーガル』(1-2)
学者一家の預かり奴隷のシタラという少女がモンゴル帝国の襲撃により主人一家を失い、ファーティマと名乗り復讐を誓う物語。
1巻ではファーティマと名乗るまでと、ファーティマと名乗って以降のモンゴルで馴染み復讐心を忘れそうになるまでが描かれる。
2巻でふたたび復讐心を抱き、モンゴル帝国内部の政治情勢の変化に乗じたファーティマの復讐の始まりが描かれる。
ファーティマという女性についての歴史についてあまり知らないし、モンゴル帝国についても元寇で二度と日本へ攻めて来たこと以外あまり知らない。(ゴーストオブツシマはやってみたいなぁと思っています)なので新鮮で読んでいてとても楽しい。
『城下町のダンデライオン』(7)
ダンディリオンの開催を争う対抗戦を描いた第三部の2冊目。相変わらずキャラクターは可愛いので読んでいて楽しい。
政治的な部分も多く描かれていたり、内容が少しずつ変質してきたように感じる。それが悪いわけではないと思うが。
『ぱのらま』(6)
鉄道旅行ものの6巻。
荷物の話とか旅先でしか行けない店がある話はよく分かる。
自分も旅先以外でスタバには行かない。自分がどこにも所属していない人間だという認識が生み出す自由さは旅行の醍醐味で、その認識のおかげで普段は行こうとは思わないオシャレな場所に行けたりもする。
たまに行く塚口サンサン劇場が登場していたのが嬉しかった。あそこは良い映画館です。
『ジャンボマックス』(8)
徐々に状況が悪化していき、建男に決断が迫られるところで終わったので次巻をを早く読みたいと思う。
ただこの漫画って状況が目まぐるしく変わるので1巻ずつ読むより一気読みする方が楽しめるんじゃないのかな、とも思える。
完結してから一気に読みたい。
『こみっくがーるず画集 あばばーさりー!』
画集に関してはこれまで描かれてきたこみっくがーるずたちのイラストが楽しめるが、それ以上に読みたかった『かおす先生のアトリエ探訪~きらら漫画の作り方~』が読めたのが嬉しかった。
『キミイロ少女 完全版』
『少女² 完全版』
どちらも『わたしの百合はお仕事です!』の未幡の短編集。
初期作品から『わた百合』の連載直前のものまでを網羅したもの。
個人的にこの短編集を2冊読むことで百合作品の短編漫画における限界を感じてしまった。
あるシチュエーションとそれに捻りを加えた展開が繰り返される。二つの短編集に集録されたものは総じて漫画としてクオリティが高いのだが、これが繰り返されると飽きてくる。同じ料理を様々な調味料を使って味変している感覚に近い。
おそらく、これが現状の百合というジャンルにおけるひとつの構造的な限界なのかもしれない。
『レ・セルバン』(1-2)
面白いのだが、そこまでエグくないし絶望感もない。そのため少し物足りなく感じる。
しかしながらこうした作品を描くにはかなりの力量が必要だし、それを続けるための機会も必要。
完結まで応援したい。
『邪神ちゃんドロップキック』(21)
いつも通りの邪神ちゃん。
ユキヲ先生の絵はとても好き。
『これを描いて死ね』(1-3)
漫画を描きたい少女たちの物語。
こういう創作に燃える人々を描いた物語は好みなので完結まで追いたい。
『月曜日のたわわ』(7)
前髪ちゃんの物語は進んでいるが、他はいくら登場人物が増えても物語として停滞している印象を受ける。
キャラクターは可愛いし、絵も良い。飽きてきたんだろうか。
『ブルーロック』(24)
イギリス戦後の幕間とそこで評価を上げた馬狼がいるイタリア戦の序盤まで。
ネオエゴイストリーグに入って主人公である潔のゴールがなかったのが、今回の最後で見られた。
カバーを飾る氷織の背景が語られるのでイタリア戦での活躍に期待したいところ。
ブルーロックは読みやすくて面白い。
『メダリスト』(1-8)
傑作。
自分はフィギュアスケートについて何も知らなかったし、なんなら少し偏見を抱いていた。
しかし、これほどまでに熱い漫画を読むとそうした感情が吹き飛ばされてしまう。そういう意味ではフィクションとは非常に強力な力を持っているなと思えてしまう。
『これを描いて死ね』でも思った事だが、才能が花開いていく様子を読むのはとても楽しい。
『ささやくように恋を歌う』(1-8)
百合漫画。
様々な登場人物の関係性を巧みに描いた作品。
ストーリー上でそうした関係を描くのも非常に上手いが、作画面の細かさが見ていてとても楽しい。百合というジャンルだけではなく、漫画として非常に完成度のではないのだろうか。
ただ、8巻まで読んでこれ以上ストーリー上の広がりが見えないので、これから先は終わりに向かっているのだなと思うと少し悲しく思える。