7月に観た映画
『TAR/ター』
ある世界的音楽家の物語。
バベルの塔が神の怒りに触れて破壊されるという説話があるが、主人公の高みへ到達し、その傲慢さゆえに失墜する様はそれを見ているようだった。
この映画は素晴らしいストーリーラインがあると言うよりは、ターという人物を描くことに全てが注がれていることで作品のクオリティを高めようとしているように感じられた。
個人的にはあまり好みではない。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』
ハリソン・フォードのインディ・ジョーンズ引退作。
マッツ・ミケルセンは悪役でもカッコいい。
事前に読んだレビューでは酷評されていたが、インディジョーンズってこんなもんじゃねえのかなぁって。
『カード・カウンター』
前日あまり寝ていなかったせいかほとんど寝てしまった。だから内容が全く理解出来ていない。
オスカー・アイザックはとてもカッコよかった。
『M3GAN:ミーガン』
『アイの歌声を聴かせて』というAIを扱った傑作映画があるが、その邪悪版という印象。
ミーガンがネットで調べた知識を語る様はChat GPTを初めて使ったときのような印象を受けた。どことなくこういうAIが語る知識は歯の浮いたような印象を受けるが、中国語の部屋という思考実験が示すように本当の意味で知識を理解していないのだろう。
そうした側面から見るとミーガンの行動原理がよく分からない。まるで感情のある人間のようでAIによる脅威というよりは古典的なモンスターのように思えてしまう。
人間からは理解できないAIならではの理屈からくる恐怖を感じたかった。
『ヴァチカンのエクソシスト』
キリスト教圏ではない日本で何故か評判の映画。
ラッセルクロウが原付に乗って走り回る様子は見ていて微笑ましいし、そこまで怖い演出がないのでバトルものの映画として見ていて楽しかった。
悪魔に取り憑かれた少年の演技は素晴らしい。
『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』
トム・クルーズのアクションは見ていてヒヤヒヤするし、今後さらに危険なスタントをするそうなので、ちょっと頭おかしいなって思う。
この映画を見ていて高畑勲へのコンプレックスがあったのだろうか、と思ってしまった。
説明されてなさすぎるというレビューがあるが、Wikipediaで適当に宮崎駿の半生を参照すればこの映画が宮崎駿の非常に個人的な作品だということが分かる。
これを作る上で宮崎駿は大衆からの理解や興行的な成功に対してなんの期待もしていなかったのだろうか。
だから世界に対して開かれた作品というより閉じられた小さな世界を描いた作品になったのかもしれない。
『イノセンツ』
北欧の森に包まれた団地に引っ越してきた姉妹とそこで暮らしていた超能力を持つ少年少女の出会いが事件を引き起こすという内容。
森に包まれた団地というロケーションが素晴らしいし、見ていて痛くなるような映像がとても素晴らしかった。