緑色の微睡み

睡眠不足です

10月に観た映画

『四畳半タイムマシン・ブルース』

森見登美彦原作の四畳半神話体系と上田誠の戯曲を劇団ヨーロッパ企画において上演された舞台サマータイムマシンブルースを合体させたキメラ映画。原作未読。

サマータイムマシンブルースは映画で昔見た記憶があったがあんまり覚えてなかった。

内容は十分楽しめたが、アニメ四畳半神話体系を放送当時に見ていた身としてはパワーダウンしているような印象を受けた。

何故だろう。過去の記憶を美化しすぎていたのか、年を取ったからか。

それでも、物語を締めくくるあの言葉が聞けたのはとても嬉しかった。

 

『夏へのトンネル、さよならの出口』

八目迷原作。原作未読。制作は映画大好きポンポさんのクラップ。

奇しくも同じ日に時間をテーマにした作品を二つ見ることになった。『四畳半タイムマシンブルース』はタイムトラベルのパロディでその構造をコメディに上手く落とし込んだものだが、『この夏へのトンネル、さよならの出口』は時間の経過と主人公二人の心的距離を描いたものだった。

ほしいものが手に入るという設定だけを見ると諸星大二郎の傑作妖怪ハンターシリーズの短編『蟻地獄』や長編の『魔障ヶ岳』を連想した。

ウラシマトンネルというギミックが作用し登場人物たちが失ったものを再び獲得して物語は閉じられる。

そこに不満はないが、もう少し二人が同じ時間を過ごすために主人公やヒロインに行動をさせることができなかったのか、と思ってしまった。この作品のキモは二人の関係性をエモーショナルに描くことなのでそれが無くても成立はするのだが。

気になったのは主人公とヒロインを取り巻く社会の描写で、2人の関係を掘り下げて描くためにそうしたのだろうか、その辺りが非常に希薄に思えた。

それが作品にマイナスに作用するということが言いたいわけではない。ただ、なんとなくその部分からセカイ系のような空気を感じ取ったのでその部分を注視してしまったのかもしれない。

あと父親や家族を露悪的に描きすぎではないだろうか? あまり善人過ぎてもこの物語では上手く作用しないのだろうが。

まとめると最後までいい感じでストーリーにテンションが効いてて楽しめました。

 

『「ウルトラセブン」55周年記念 4K特別上映』

ポスターに載ってた「55年前、未来があった。」というキャッチコピーが秀逸だと思った。

基本的には昔のSFで突っ込もうと思えば突っ込みどころも多いが、ウルトラセブンがあることで現在のSFがあると思うとそんな野暮なことはできない。

 

アバター ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』

公開当時観に行っておらず、廉価版のDVDで見て「SF版ラストサムライやんけ」と思いそんなに目新しい内容だと思わなかったけれど、映画館で見ると音響や圧倒的な映像美に驚かされた。

ナヴィ達やパンドラの生態系の驚異が映像を通して感じられたのは映画館だからこそ。もちろん人間達のメカメカしい飛行機や装備も良かった。

パンドラの美しい世界を垣間見るためには映画館(出来るならIMAXやドルビーシネマ)まで行かなければならない、と思った。

 

ウェアウルフ・バイ・ナイト』

正確には映画ではなく、マーベルの1時間ほどのドラマ。クラシカルな怪物映画から着想を得ている。

面白くないことはないが、そこまで印象に残らなかった。見た時の体調が非常に悪かったせいだろうか?

 

『RRR』

実は初めて見たインド映画。

ダンスするのは知ってたけれどそれ以上に骨太な男の使命と友情の物語。

若干ナショナリズムが強調されているように感じられるが、それだけ背景に抑圧された人々の存在しているのだろう。

絵面が面白いのはあるけれど、そこまで流行るほどのものだろうか?