2月に見た映画
『金の国、水の国』
貿易によって栄えるが水のない「金の国」と金はないが資源豊かな「水の国」。この二つの国は古来より仲が悪く対立していた。
それぞれの国で暮らす王女と元役人の二人がひょんな事から出会い、小さな嘘をつくことで、両国を巻き込んだ二つの国を繋ぐ大事業と陰謀の物語が幕を開ける。
原作は未読だが、傑作の部類に入る映画ではないかと思う。サーラとナヤンバヤルのラブストーリーに重きを置きつつも二人の関係性を現す二国間の難事業の実現を目指す。非常に手堅い作りだが、それゆえに無駄のないストーリーで安心して観ることができた。
作中において女性の美しさについて触れられる事から、ルッキズムという考え方に接続される。その部分にフォーカスすると少し微妙な部分もあるかもしれない。しかしながらそれだけで語る映画ではないように思える。
この作品は観客の敵意を引き受けるような明確な悪人が登場せず、それぞれの思惑の違いによってドラマが構成されている。そのおかげか、鑑賞後は非常に心地よい感覚を得る事ができた。
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
今後のMCUの重要なヴィランとなる征服者カーンとアントマンとワスプの死闘を描いた作品。
この作品を見る上で基本的に抑えておかないといけないのはドラマ作品ではなくMCUの映画化作品だが、ポストクレジットでドラマのキャラクターであるロキの変異体が登場するので今後はやはりドラマ作品を抑えていかないとダメなのだろう。
この作品自体はスーパーヒーローとヴィランの戦いが繰り広げられるもので、非常にありふれたものかもしれない。
しかし今回登場するヴィランは征服者カーン。
今後のMCUにおいてアベンジャーズと敵対し大いに活躍される事が約束されている。MCUを追いかけている人ならカーンの劇場デビュー作品として抑えておいたほうが良い。
『エンパイア・オブ・ライト』
1980年代初頭のイギリスのとある映画館とそこで勤務する人々を描いた作品。監督はサム・メンデスで撮影したのはロジャー・ディーキンス。バッチバチに構図が決まった美しい映像はアート写真のようだった。
作中で説明されるファイ現象(静止画が連続する事で仮想の運動を知覚する現象)において、光と光の間に人の知覚できない暗闇が挟まれる。
それを表すかのように、この映画は美しい場面を描きつつ、そこに存在する人々の闇を連続的に映し出している。
こう書くと非常に洗練された美しい映画のように聞こえるかもしれないが、脚本的にはさまざまな要素を継ぎ足しすぎていて、物語がどのような方向に進展していくか分からず、混乱しながら筋を追うしかなかった。
マイケル・ウォードについては名前を覚えておきたい。
『アラビアンナイト 三千年の願い』
アラビアンナイトを題材にした愛にまつわる物語。
予告を観てガンギマリワクワクアドベンチャーを期待して行ったが、シェヘラザードと魔人のエピソードを混ぜ合わせたような、物語を語り合う奇妙な映画だった。語られる物語に吸引力がなく、正直見ていて退屈だった。
にしてもイドリス・エルバってガタイヤバいんですね。
『別れる決心』
優秀な刑事である主人公と夫を殺害した妻のラブストーリー。
韓国映画は日本の映画を観ているようで非常に見やすい。韓国の街並みも日本のものと大きな差はないので、文化的に近い国なのだなぁと見ていて思うことが多い。30分を日本語のように言ったりもする。
美しい場面も多く、個人的には非常に楽しめた。